「がんだけど、がんじゃないと思っていればそれでいいんだ」

86歳画家の安野光雅さんが「徹子の部屋」に出た時の録画を見た。年を取れば当たり前だけどこの方もまた、色々病を抱えているんだそうだ。全然そうは見えないけれど。肺がんで、首にも転移しているとのこと。ご自分で触診の天才と言ってるように、首を触ると自分でわかる、と。天才だからいつでも診てあげるよ、と周りの人に吹聴しているが、まだ誰も診てと言わないんだって。可笑しい〜。高齢だからなのかそれとも、それが主治医の考え方なのかははっきり番組の中ではわからなかったが、安野さんの主治医は、首について「がんが大きくなってないなら、このままにしましょう」と言って手術はしていないそうだ。

光野さんは、結局がんと自分が追っかけっこしているんだ、痛い目みなくたって、そのうち自分が先に逝っちゃうかもしれないんだから、と語っていた。首は手術せずそのまま様子見だけど、肺のがんは、放射線治療をして日に日に小さくなっていったそうだ。

年を取ったら病気は仕方ないんですよ、だからしたいようにしている、と。絵が描ければそれで良い、と。


72歳でがんが見つかって、当時はがんのことがよくわからなかったので、がんだな、じゃあ死ぬんだなと思い身辺整理を始めた光野さんに、「そんなことしなくていい、今のところ、がんじゃないと思っていればそれでいいんだ」と主治医が言ったそうだ。「だって、がんだって言ったじゃないかと言ったら、『がんだけど、今のところは何も思わなくていい』と。外国行ったっていいし、徹夜したっていい、普段通りでいいんですよ、と言われたのですって。「これは、私だけじゃない、すべての人にですよ。あきれかえっちゃってねえ。がんのたちがよかったんですねえ」と語っていた。

がんとの向き合い方について、私のドクターが言っていることと中身は同じだなあ。徹夜とは言わないが、疲れ過ぎないように、ストレスをためないようにとは言われるけど、普段通りで、何も気をつけなくてもいい?とも言ってる。これは、矛盾しているようだけど、まあ、矛盾でいい。「がんだけど、がんじゃないと思っていればそれでいいんだ」という表現、いいなあと思う。こういう一見とぼけた言葉、だけど示唆に富んだ言葉は、とても自分の力になります。

触診の天才だからいつでも調べてあげるよ、という冗談もいいね。私も触診してあげますよ、私の周りのみなさん!誰も信用しないだろうけど〜。