最期まで冗談を


「大型連休にして」「長期休暇を」

酸素マスクが暑くて苦しくて、度々取りたがった義父。義兄が到着するまでなんとかがんばって欲しいと、夫や息子が上手になだめながら、10数える間だけマスクを外し、すぐに戻す。この繰り返しの時に義父が発したジョーク。全くすごい人だ。


悲しみに打ちひしがれている間もなく、今夜母から、父も入院したと連絡が入る。今年はなんという年だろう。私は私の体内に宿るがん細胞に、お願いする他はない。がんちゃん、この大変な時期にどうか静かに眠ったままでいて。増えてはいけませんよ、増えては。がんばれ、私の免疫力! ナチュラルキラー!


義父は数年前発見された食道癌を、高齢のため手術はせず、放射線と化学療法で治療した。食道はすっかりきれいになり、昨年で丸5年が経っていた。一般的な癌では5年というと克服したということになる。義父はこんな嬉しいことはないと喜んでいた。彼は、高齢の母を看取るまでは絶対に死ねないと心に誓っていたそうだ。その強い気持を私も受け継ごう。遺伝子は受け継いでいなくても、真似てみよう。