聞いてすっきりした  やっぱりせっかちが自分のテンポなんだもの 


前置き  自分の寿命について訊ねたくだりの日記です。愚問だけど、当たり前の答えしか返ってこなかったけど、でも聞いてよかった。もう余命だの寿命だの考えることに時間を使うのはナンセンスだから、これでこのテーマはおしまい。泣いて暮らしても笑って暮らしても、どうせ同じ時間なら、楽しく生きる方を選んだ方が得策だものね。がんと闘うことが人生の目的じゃない。生きることが生きる目的じゃない。
 


昨日退院を前にドクターが病室にやって来た時、普段診察室の短い時間と雰囲気ではとても聞けないことを、今が一番聞き易いと思ったので、私は単刀直入に聞いてみた。私はあとどれくらい生きられますか?あ、これじゃ答えにくいかと思い、それから言い直して、いや、私と似たような症状と経過を辿る乳がんの人は、一般的にどれくらい生きるのか、と聞いてみた。ドクターは、まず笑って何言ってるのという雰囲気で、まだまだ、みたいなことを言ったけれど、次に、真面目な表情で、みなそれぞれなので一般的になんて言えない、と言った。ある人は5年、ある人は10年、と。そして「どうせ人間はいつかは死ぬんだから。あんまり心配しないで。楽天的なのがいいのよ。私だって、後何年生きられるかわからないんだから」(男の人が語尾にいいんですよや、いいんだよじゃなくて、女言葉「いいのよ」を使う時、ってどういうニュアンスの場合だろう?なんちゃって)と言った。さらに、「いつも言ってるけど、だから、一日一日を大切に生きなさい」と言い残して去って行った。ああやっぱりそういうことか。やっぱり私ってドライなのかなあ、涙も出やしない。フン・・・。


左の脇リンパ節転移(転移っていうけど、結局仮の診断だから、再発かもしれないが)のがん細胞についてのドクターの予想というか、私に言った表現は。手術一週間前・・・きっと右と同じタイプだから、また同じホルモン療法でいけると思う、と。手術日前夜・・・検査に出してみないとわからないが、違うタイプの可能性もある。その場合は、治療法を相談しましょう。昨日・・・治療が効いている場合、それとはタイプの違うがんが出て来ることがある。HER2かもしれない。
そうですか、それならハーセプチンですか。ハーセプチンはあまり副作用がない(分子標的剤とかいうのでしたっけ。画期的なやつ)からいいけど、私は副作用の辛い抗がん剤はいやです、と言ったら、そりゃ僕だっていやだよ、と。今は飲み薬の抗がん剤もあるから。あまり苦しい治療ではなく、いかに高いQOLを維持しながらどれだけ生きるか、ですよ。結核の療養と同じようなもの。と言われた。


私はせっかちなので、早い段階で聞いたけど、聞いてよかったと思う。もう聞かない。後2,3年かもしれないし、特に今みたいに全く元気なのは1年かもしれないし。徐々に弱りながらで、5年かもしれないし、10年かもしれない。ただ、後1年くらいと予想できる時点では、教えて欲しいと思う。先延ばししないでやりたいことって、あると思うから。自分のbucket list(映画「最高の人生の見つけ方」の原題 棺おけリスト)を作っておかないと。問題解決リストだけじゃ、つまらないから。人生の幕引きがいつかは、神のみぞ知るだけど、幕の引き方には自分も多少は関与できるのではないだろうか。自分の人生なんだから。