ひねもすのたりのたりかな

家人は全員出払っており、午前十時過ぎには家には私一人。忙しかった先週があっての、久々一人の至福の時間。嬉しい。両方あっての、ありがたさだなと、最近は思うようになった。影あっての光、忙あっての閑ということか。

お昼ごはんの支度が要らないので、のんびりと過ごせた。昨日買って来たマフィン型(6つ穴ぼこになっているタイプ。今はこういう便利なのがあるんだね)で、バナナマフィンを焼いた。超簡単な、ホットケーキミックスを使うレシピをネットで見つけて、これだと。マフィンをオーブンに入れて、後は梨木香歩の『エンジェル・エンジェル・エンジェル』を読む。いつも後書きから読むくせがあって、それだけは買ってすぐ読んでいたのだけど、肝心の中身を読む時間と気持ちの余裕が、今日までなかったのだった。短いので、すぐ読めた。神田橋さんの後書きをもう一度読んで、それも味わう。この小説、面白いですよ。神田橋は、「からくり小説」と言っている。何も知らないで読むのが一番だから、何も書けませんが、登場人物は高校生の孫とそのおばあちゃんのさわこさん。寝たきりになったおばあちゃんの夜のトイレの世話をすることになり、そのおかげで欲しかった熱帯魚を飼うことを許されるのだけど、エンゼルフィッシュが、次々とネオンテトラを食べてしまい・・・というお話。そうだ、しばらく読んでなかったと思っていたけど、忙しい中でも、先日は梨木香歩の『この庭にー黒いミンクの話』も一息に読んだのだった。この人の小説を読むといつも、命ある限り、日々の生活をとにかく織り続けよう、と思えてくる。日常を織る、という感じ。別に私機織りしているわけじゃないけれども。

焼き上がったばかりのバナナマフィンを一人で味わいながら、欲張ってさらに、娘が数日前に買って来た『沼地のある森を抜けて』も読み始めた。娘が、「ぬか床の物語っていうだけで、なんか気になるね」と言っていたが、まさにそうなのだ。ぬか床?ぬか床がどうしたんだろうってね。こちらは長編小説。途中で眠くなりうとうとしては、また目覚めちょっと読み、またうとうと。そして夢まで見て、完全に起きたのは、驚いたことに夕方だった。でも、いい一日だったなあ。リフレッシュされたなあ。