「わかっていたよ」

夕食時、「皆サン、おとといが何の日だったか知ってましたか?」とやや不満げに言ってみた。「ワタシの最初の乳がん手術の記念日だったのよ」「え!そうだったの!」という家人もいれば。夫は「わかっていたよ」だって。ま、いいか。その日はバタバタしていて、ソレどころじゃなかったものね、私たち。私も前日までは覚えていたのに、当日は忘れていた。

この四年間、乳がんにまつわる傑作な思い出は幾つもあるが、ダントツは、あれです、やっぱり。それを言った友人は、しまった!と思って恐縮していたけれど、あれは私には嬉しいことだったのよ。ここ読んでるかもしれないから断っておくけれど。ほんと、愉快で痛快で、可笑しかった。

その話というのは、いつも私の体のことを気遣い続けてくれた友人が、ある日私に電話してきて、(私にはまさか、それ大き過ぎでしょ!という)○サイズのブラがある事情で未使用のままあるんだけど、使ってくれないか、というものだった。いやあ、いくらなんでも私にはビッグ過ぎるわとお断りした。自分でもそれから気付いて、可笑しくなって言った。それに、私ホラ、温存の手術してるからさ〜と。そう、友人は私がこの4年間とても元気だったもので、乳がん患者であったことをすっかり忘れていたのだ。それって、私が元気に過ごしてきたという証言みたいなものだね、嬉しかったわ。