ジェムザール


ジェムザールという抗がん剤が、とうとう乳がんでも昨日から健康保険が適用になったと、たった今ネットで知る。梅沢先生のブログに出ていたのだ。以前から乳がんに対する効果があることはわかっていたのだが、日本では、膵癌や膀胱癌には適用になっていたものの、乳がんについては、認められていなかったのだそうだ。ここまで来るのに、多くの人々の努力があったのだろうな。先日読んだ『がん患者学 1』でも思ったことだけど、10年前と今では、がんの治療や考え方がどんどん進んで来ていることがよくわかる。先人の苦労の先に、今があるのね。


さてさて、もうすぐ2ヶ月ぶりの検診だわ。ちょっと太っちゃったから、痩せないとまずいんだけど(それに、一周忌に着る喪服が入らなかったらどうしよう)、寒いと減量って難しい。寒くて空腹って、大変だものね。


TS-1を飲み始めて、丁度7ヶ月たった。隔日なので、3ヵ月半分の薬を飲んだ勘定だ。体調もよく、風邪も引かず、お腹もこわさず、頭痛とも無縁。肩こりは多少あるけれど、昨年のように首や腰の痛みに悩まされるということもない。倦怠感というのもないし、すこぶる元気。首のあたりが、かぶれやすいけど、保湿に気をつけていれば、悪化はしないようだ。ただ、以前より睡眠時間は長くなった。7時間は寝ているよ。これで、がん化した自分の細胞飼ってるんだからねえ。がんってミステリアスって言われているけど、ほんとにそうだわ。

今、がんをどうにかしようというよりも、健康のために、自分でやっていることは幾つかある。相変らずの野菜ジュース。人参と青紫蘇と林檎を基本に、あとはその時々にあるトマトやキャベツ、パプリカ、小松菜、ほうれん草、などなど。おいしいのが、条件。青じそを入れるのは、人参とりんごだけだと、あんまりおいしくないのが、ぐっとおいしくなるので。と言っても、手抜き、いい加減、適当を旨とし、決して〜を食べないとか、絶対に、〜をする、とか思わない。手段が楽しいというのが、長続きするコツのようだし、今はまだ、苦しい修行のような闘病をするつもりはない。

朝は、基本的にはかんきつ類のジュースだけど、焼きたてのパンがあれば、つい食べてしまうし、午前中から出かける時は、しっかり食べたりと、適当だ。

甘い物も、バターも、食べているけど、なるべく控えめにと思っている(家で全く食べない、というのは無理だった。外食では、何でも食べる)。ケーキとお肉と乳製品は、昔に比べたら、ほんとに食べなくなった。魚は食べている。

大豆のイソフラボンが、乳がんにとってどうなのか微妙な感じだから、あとはもう勝手に自分の直感で。今日は食べたい!と思ったら、納豆を食べるし、先日なぜか、すごく黒豆の炒ったのを食べたくなって、いただきました。噛みごたえのあるものが、食べたい時ってあるでしょ。

イメージ療法のCDは、時々聴いている。落ち着く。それどころか、G線上のアリアが流れるあたりで、どうしても眠ってしまう。

運動は、今は、自転車を家の中でこいでいる。今日は、25分ほど続けて。でも、10キロカロリー程度なのがね。もうちょっと、どうにかならないものかしら。


呼吸は、夜寝る前にもし思い出せば、やっている。ゆっくり口からふううううと細く長く吐いて、ちょっと息を止めて、鼻から吸う。そのうち眠ってしまうので、回数は適当。


洗い物の時は、いつも音楽を。頭を空っぽにできるので、この方法はとても気に入っている。昔は、洗い物をしている時は、けっこう考え事をして、それも楽しくないことだったりして、ストレス―洗い物に追われること自体もストレスだったが―今は、音楽を聴く時間と化したので、楽しくなった。アップテンポの曲で、体をゆすって(爆)、足首が鍛えられないかなと期待しつつ。

キーボードの練習は、下手でもなんでも、やめないでここまで来てよかった。練習する時は、自然と頭を空っぽに無心に集中することになるし、楽しい。

副作用がほとんどない生活だから、闘病で疲れるということはないし―そもそも闘病しているとは言い難い―、家族もたぶん私のがんのことで、まだそんなにストレスにはなっていないと思う。だから、このまま調子よくもう少し続けていきたいけれど、そうなるかどうかは、神のみぞ知る、である。とりあえず、ここまではこんなに元気にやってこれたので、発見時すでに第4ステージだったことを考えれば、大変なもうけもの、あり難い幸運なことだと、思っている。自分のがん治療に関して、恨みや怒りがないのが嬉しいし。


と延々書いているのも、今度の検査で引っ掛からないという保証はないから、自分がちょっと整理して振り返ってみたかったからなのかもしれない。そりゃ、不安だ。不安じゃないと言えば、嘘になるし、不安で当然と思っている。4月が来れば再発から1年だから。振り返ってみたら、2007年7月に乳がんが発見されてから、今までの生活、決して悪くないな。まだ、がん患者の本当の苦しみを経験していない段階だよね。あの時、まさかこんなに元気なまま治療を続けられるとは、イメージしていなかったけど。