揺れる胸の内


親不孝の自分。夜あるドラマを見ていたら、辛くなった。そのドラマとは全く事情は違うけど、やっぱり親不幸者だな、私。

がんなの私、とは今はまだ、両親にも義母にも言わないことにしている。なにしろまだ辛い症状もなく、副作用に苦しむでもなく、髪もあるから隠せている。ストレスを避けたいがため、最低限しか果たしていない、娘として、嫁としての役割を。


もしがんだと言ったら、3人とも大変悲しみ、そして私に嫁や娘としての役割を何もさせまいとするだろう。告げて何一つ良いことはない。だから、ずっと内緒にしている。がんでもう治らない、しかも肺にも転移しているなどと知らせる親不孝と、余り寄り付かないので寂しい思いをさせている親不孝と。いずれにしても、親不孝だ。


夫に思いをぶつけてみた。私は辛い、と。

何と思われようといいじゃないか、自分が悪者になればいいんじゃないか。一度、がんだと言わないと決めたのだから、それをこのまま貫けばいい。親不孝と思われてもいいじゃないか。結局君は、良い人、良い娘、嫁と思われたいんじゃないのか。できないんだから、次善のことをするしかないのじゃないか。仕方ないよ。割り切るしかない。あんなドラマは見ちゃだめだったんだよ。揺れ動く気持ちはわかるよ。と言われた。痛いところを突いてくる。