重圧はダメよ


今日、というか日付が変わったので、昨日の朝日の朝刊の13面「科学」に、面白い記事が載っていた。ネットで探したら記事本文は出てなくて、でも「テスト不安」で検索すると、一部似たような記事がでて来た。http://www.asahi.com/science/update/0117/TKY201101170182.html シカゴ大のチームの研究で、重圧のかかるテストの前に、不安な気持ちを綴ると成績が上がったというお話。


28日の「科学」は、入試シーズンということで、緊張しすぎると実力を発揮できなくなるが、どうしたらいいか、というテーマが取り上げられている。「テスト不安」と言われ、心理学では1950年代からの研究テーマなんだって。へえ〜、すごいね、もう50年以上もねえ。

私はこれすごく面白いと思ったんだけど、記事によると、緊張で実力が発揮できない原因として、注意力には容量があるという仮説があるそうだ。注意力が心配事に使われると、テストへの集中力に振り向ける分が足りなくなる、と。また、緊張状態にあると、慣れた行動しかできなくなるという研究結果もあるのだそうだ。

以下、記事から

「そこで、過度な緊張状態をどうほぐすかが重要になる。新潟青陵大学碓井真史教授は、『緊張しやすい原因は、性格ではなく、物事のとらえ方。それを変えれば、リラックスできる』と話す。認知療法として、うつの治療にも使われている。・・・周囲の態度も影響するようだ。99年に立正大学の松原達哉教授(現東京福祉大学学長)らが全国の小中高の2667人に実施したアンケートで、親、教師などが失敗に厳しいと、テスト不安が高かった。碓井教授は「失敗しても自分の価値が下がるわけではない。家族から守られていると安心感を持てることも大事だ」と話す。

で、何を言いたいかというと、不安と緊張のこの話は、乳がん不登校についても言えるんじゃないかと思って。

「失敗しても自分の価値が下がるわけではない」は、すなわち「不登校になっても、自分の価値が下がるわけじゃない」。親から見れば、子どもの価値が下がるわけでも、親の自分の価値が下がるわけでも、また、担任の価値が下がるわけでもないということにつながると思う。「家族から守られているという安心感」も、まさに当てはまる。不登校になったら、周囲の大人が最初に目指すところは、これですよね。「不安、緊張、自分の価値下げ」から解放されること。本人はただでさえ心配と、不安と緊張にエネルギーを過大に費やしがちなのだから、周囲はそれに輪をかけないように、あおらないようにした方が良いんだよねえ。

私の乳がんについても同様で、第4ステージのトリプルネガティブがんもありときては、もはや治すことは出来ないと言われているけれど、不安を最小にすることは可能だ。実際、自分なりの工夫でけっこう出来るようになったと思う。夫が楽天的というのも助かっている。乳がんという大枠の中でも、自分で取り組める部分があるということ。これを知っていると、がんの自覚症状や抗がん剤の副作用で苦しんでいない今は、まだまだ無力感に襲われることはないんじゃないだろうか。